足の付け根が痛い

足の付け根とはどの部分?

足の付け根は、一般的には鼠径部(そけいぶ)を指します。鼠径部とは、足の付け根にある溝の内側の場所です。整形外科では足の付け根に痛みがある場合は股関節や股関節周囲の疾患を疑います。

足の付け根に痛みが起こった場合

足の付け根に位置する股関節に痛みが起こると、以下のような症状に繋がりやすいです。

  • 歩行時に左右に揺れる
  • 歩行が困難になる
  • 太ももやお尻に痛みが生じる
  • 立ち上がるのがしんどい
  • 靴下を履いたりあぐらをかいたりするのが難しい

股関節は上半身と下半身を繋ぐ部位で、足を地面につけた時の衝撃を和らげる緩衝材のような役割も果たします。そのため、股関節に痛みが生じて股関節の機能が損なわれると、腰以外にも太ももやお尻にまで痛みが生じやすくなります。 他にも、歩く・立つ、靴下を履く、あぐらをかくなどの動作に支障をきたすようになり、人によっては歩行時に上半身が左右に揺れるケースも見られます。

足の付け根は片側のみ痛むこともある

足の付け根に位置する股関節や鼠径部では、左右同時に痛みを感じることもありますが、片側だけに痛みが生じることもあります。どちらか一方のみに痛みが生じる場合、下記のような原因が疑われます。

  • 以前の怪我の後遺症によるもの
  • 身体の使い方が悪いことによるもの
  • 骨盤の歪みによるもの
  • 先天性の股関節の異常や変形によるもの

足の付け根の痛みの原因となる疾患

変形性股関節症

変形性股関節症は変形性関節症の1つで、股関節にある軟骨が摩耗することで、骨同士が衝突して痛みが生じる疾患です。前期、初期、進行期、末期の4つに分類され、それぞれ特徴が異なります。

変形性股関節症について

前期

前期では、股関節の変形は確認されますが、軟骨の摩耗は確認されず、骨盤と股関節との隙間は正常な状態です。多くの場合、自覚するような症状は現れません。

初期

初期では、軟骨が少しずつ摩耗していき、骨盤と股関節との隙間が段々と狭まっていきます。この段階で、歩き始めの違和感や軽い痛みが現れるようになります。

進行期

進行期では、軟骨が虫に食われたかのように摩耗していき、初期段階より骨盤と股関節との隙間が段々と狭まっていきます。この段階になると、爪を切る、靴下を履くなどの動作が難しくなり、日常生活に影響が出てくるようになります。

末期

末期では、軟骨の大部分が消失し、骨盤と股関節の骨が直接ぶつかり始めます。この段階になると、股関節を動かした時以外、例えば就寝時や安静時にも痛みが起こり、QOLが大幅に低下します。

関節リウマチ

関節リマウチは、本来身体を守るはずの免疫系が関節にダメージを与え、炎症が生じる疾患です。 はじめは、指や手関節などの小さな関節に症状が現れ、進行に伴って股関節や膝関節、足関節などの比較的大きい関節にも症状が現れます。

骨頭壊死

骨壊死とは、骨に十分な血液が供給されなくなり、骨細胞が死んでしまう疾患です。大腿骨の頭の部分(骨頭)が壊死する疾患が大腿骨頭壊死になります。 大腿骨頭壊死の1つである特発性大腿骨頭壊死は、現在のところ原因が明らかになっておらず、難病指定されています。

足の付け根の痛みの治療法

上記の疾患はあくまで原因としてよくあるもので、足の付け根に痛みを起こす原因は他にも考えられます。例えば、股関節周辺の筋肉が緊張することで痛みが生じることがよくあります。 股関節の痛みが長期間続く場合は、ストレッチや運動を習慣的に行いましょう。それでも痛みが続く場合は当院までご相談ください。

股関節の痛みを緩和する運動・ストレッチ

股関節が急に痛む場合を除き、違和感や少し痛みが現れている程度であれば、ストレッチや運動によって改善できる可能性があります。

ストレッチ

慢性的な股関節の違和感や痛みがあるのに原因が分からない場合、股関節周囲の筋肉が硬直化し、骨を引っ張ることで症状が起きている可能性があります。 その場合、股関節への負担を改善するために、ストレッチを習慣的に実施することを推奨します。なかでも、腹部の内側の筋肉である大腰筋、太ももの裏側(ハムストリングス)や前側(大腿四頭筋)を重点的に行いましょう。

適度な運動

股関節を動かした際に急激な痛みが起こる場合を除き、慢性的な違和感や痛みが起きていたとしても、少しずつ股関節を動かすことで痛みが改善していく可能性があります。 症状が気になって股関節を動かさずにいると、股関節の周りの筋力が落ちて、逆に症状を悪化させる場合があります。 プールでの水中ウォーキングは関節に負担がかからない形で筋力強化が目指せます。

医療機関で行う治療法

自分での運動やストレッチでは効果が不十分な場合、リハビリや運動療法をすることで痛みが改善する可能性があります。

リハビリ・運動療法

運動不足が原因で、股関節の違和感や痛みが起きている場合、理学療法士の指示に従ってリハビリを実施し、身体の機能改善や筋力向上を目指します。 また、急激な体重増加が原因で股関節に負荷が罹っている場合、管理栄養士の指示に従って食事療法を実践し、ダイエットに取り組む必要があります。

手術

これらの治療で満足いく効果が得られない場合、または症状によって生活の質が大幅に低下している場合、手術療法が検討されます。具体的には、骨切り術、人工股関節置換術などが行われます。

足の付け根の痛みでお困りの方は当院へご相談下さい

足の付け根に痛みがある場合は、大腿骨頭壊死や関節リウマチ、変形性股関節症などが原因かもしれません。できるだけ早く当院にご相談ください。これらの疾患が原因ではない場合も、股関節周囲の筋緊張によって痛みが起きている可能性がありますので、当院でのリハビリを行うことをお勧めします。